AIと機械学習とディープラーニングの違いと関係性とは?-AIの歴史から学ぶ

AI (人工知能) とは?

AI(人工知能)とは、 Artificial Intelligenceの略語で、1950年代から研究が進められてきたコンピューターサイエンスの一つとして、ソフトウェアの活用により人間と同様の知能を実現させようとする取り組みやその技術のことを表します。具体的には、人間が当たり前のようにおこなう「学習・推論・認識・知覚・判断」といった機能を人工的に実現することです。少し難しく感じるかもしれませんが、要するに「コンピューターに、人間と同じように判断・行動させる」という試みのことを指しています。現在では、人間の知能を機械で人工的に再現する技術やアイディア全般をAI(人工知能)と呼び、機械学習ディープラーニングはその中に含まれる手法のひとつとなっています。しかし実際のところでは、実は今も”明確”な定義はなく、様々な観点から議論が行われています。

近年におけるデータ量の増加やコンピューター性能の進化に伴い、日常のあらゆるシーンでAIが活用されるようになりました。ビジネスにおいても、現在は業種や規模を問わず様々な企業でAIが利用されており、人間に代わる新たな労働力として、会社の生産性向上や業務効率化に大きく貢献しています。需要予測や在庫管理など、これまで「長年の経験や勘」に頼っていた業務も、一定のロジックやルールと過去の実績に基づいたうえで、AIが最適解を導いてくれます。

AI (人工知能) の歴史

AIの歴史は古く、1950年代に最初のAIブームが到来しました。以後、技術の進化とともにAIブームが巻き起こり、1980年代には第2次AIブームが、2010年代からは第3次AIブームが現在進行形で到来しています。この第3次AIブームが到来するきっかけとなったものがディープラーニングの登場であり、ビッグデータを用いて自ら学習するAIが実現したのです。

ここでは、AIの歴史であるこれらAIブームについて時系列を辿って解説していきます。

第1次AIブーム

人間の知能を機械で人工的に再現したいという発想の登場は非常に古く、AI(人工知能)という言葉も1950年代に生まれたと言われています。これが第一次のAIブームの発端です。

第1次AIブームで中心的に研究されたのは、「記号処理」のためのルールや数式をプログラム化することでの「推論」と「探索」でした。ここでいう推論とは、人間の思考過程のことを指します。思考パターンを分解して探索し、目的となる答えを探します。この技術によりAIは、人間では追いつかないほど膨大な数の場合分けを瞬時にできるようになり、膨大なパターンが想定されるようなパズルや迷路といった非常に困難な「問題」を人間よりも圧倒的に早く解く事が可能になりました。現在では、この探索技術は囲碁 (アルファ碁) ・将棋などのAIのボードゲーム問題に応用されています。

この第1次AIブームにより、決められたルール上において最適な答えを探すことは容易になりました 。しかし、人間が直面する問題の全てが、ある程度定まったルール上で複数の選択肢を選ぶ問題というわけではありません。 膨大な情報を効率的に処理し、現実で発生し得る問題を解けるような人間の脳を再現するのは難しく、 高速でデータ解析ができる超高性能なコンピュータの開発といった技術革新も必要でした。 その結果、AIに対しての失望感が広がってしまい、AIブームも去ってしまいました。以降しばらくの間、AI研究は下火となってしまいます。

第2次AIブーム

しかし、下火となったAIブームも1980年代に再び盛り返すことになります。このAIの再流行こそが第2次AIブームと呼ばれるブームです。

第2次AIブームでの中心的な研究は、知識をコンピュータに取り込み表現することでした。「エキスパートシステム」を活用することで、第1次AIブームでは成し得なかった現実的な課題の解決も可能になると期待されることとなりました。エキスパートシステムとは、専門分野の知識をコンピュータに取り込み、第一次AIブームで見られたような推論を行うことで、コンピュータが専門家のように振る舞うシステムのことです。コンピュータに専門的な情報を入れ、”X”という条件が揃えば、”Y”という答えを返す条件式を組み込むことで、専門家のような役割を担うことが可能になりました。エキスパートシステムはサービス・金融・医療・会計・人事などの幅広い分野で活用されることになりました。

エキスパートシステムは一見素晴らしいアプローチのように見えましたが、全ての事例に正確に対応することの難しさが露呈する結果となりました。理由としては、知識の量が膨大になり知識やそこから派生したルール同士での矛盾や一貫性の無さが発生したことや、曖昧な事例に対して判断することが難しいこと、知識を書き切る・全ての知識を暗記させることが難しいということが挙げられます。つまり、これらの障害によって、「常識レベルの知識」をコンピューターに理解させるのが思いの外、難題であったことが分かったのです。エキスパートシステムの限界が明らかになった結果、AIへの期待は再度低下し、1995年頃にAIは再び冬の時代を迎えることになります。

第3次AIブーム

第三次人工知能(AI)ブームは、2010年代から現在まで続いています。まず、現在「ビッグデータ」と呼ばれているような大量のデータを用いることで人工知能(AI)自身が知識を獲得する「機械学習」が実用化されました。しかし一方で、機械学習にも弱点がありました。それは特微量設計です。特微量とは、機械学習で「分け方」の精度に大きく影響を与える変数のことです。どんな特微量にするかが機械学習の精度を上げる肝でしたが、そもそもどんな特微量を入れるかは人間が考えていました。つまり、どの特微量に注目し、情報を抽出・分類するかは人間が考えており、コンピュータ自身では概念を理解できませんでした。しかし2010年代後半から、知識を定義する特徴をAIが自ら習得するディープラーニング(深層学習や特徴表現学習とも呼ばれる)が登場したことによって、機械自身でデータから特徴を見つけ出し、その特微を使って概念を得ることができるようになりました。そのため、その概念を利用し知識を記述することも可能となりました。今までAIが直面していた難題にアプローチできるようになったことが、現在AIとディープラーニングが脚光を浴びる最も大きな理由です。

第3次AIブームが終わる可能性と現在直面している課題

ディープラーニングが引っ張ってきた今回の第3次AIブームの行く末はどうなるのでしょうか。現在挙げられている問題をいくつか紹介していきます。

  • コンピューター内での処理内容がブラックボックス
    獲得した特微量が何か、なぜこの特微量を選んだのか、といったような判断をAIがどのような過程を経て行ったのかは人間には理解できない可能性があります。


    欧米を中心とする諸外国と比較すると、日本国内では現在、以下のような課題がAIの問題点として挙げられています。

  • データ利用に関する法整備が遅れている
  • 個人情報漏洩等、データの利用に対して非常に警戒感が強い
  • AI技術に投資する企業が少ない・研究資金が不足

AIの種類

AIは、「特化型人工知能」と「汎用人工知能」の2つに分けられます「特化型人工知能」とは、一つの作業に特化したAIのことで、代表的な例としては画像認識や音声認識、自動運転技術などが挙げられます。現在行われている人工知能関連の研究は、特化型人工知能に関する研究がほとんどです。

「汎用人工知能」とは複数の作業を行うAIのことで、与えられた情報を基に自ら考え、応用することができます。例としては、漫画やSFの世界で出てくるような人造人間などが該当します。最終的なAIの到達点ともいえますが、現在ではまだ実現はしていません。

また、人間と同じような 自立した思考や意識を持って総合的な判断ができるAIを「強いAI」思考や意識を持たないAIを「弱いAI」と分類することもできます。「汎用人工知能」は前者、「特化型人工知能」は後者に近い概念です。

機械学習とは?

第3次AIブームの火付け役ともなった機械学習とは、コンピュータが理解可能な形でデータや値を入力することで、コンピューターが何かしらの評価・判定を下し、値などの結果を出力するものであり、機械学習やAIにおいて根幹を担う頭脳のようなものです。 分かりやすいように言い換えると、機械学習とは、コンピューターに膨大なデータを学習させることで、精度の高い予測・判断を実現する手法とも言えます。

人間のように過去の事例や正解・不正解を機械が学習することで、 取り込んだデータからルールやパターンを発見し、物事の予測や分類といった「判断」がコンピュータで正確に行えるようになります。

機械学習を活用することでAIは、人間によって予め決められたプラグラムに沿って動作するだけではなく、データをもとに情報を直接学習し、予め設定された環境下での最適な判断ができるようになります。学習用データが増えれば増えるほど、AIは賢くなり、高いパフォーマンスを発揮することができます。

こうした機械学習を用いることで、人間では気づかない大量のデータの中に埋もれた法則性を見つけ出したり、人間であれば膨大な時間を要する事務作業を一瞬で終わらせたりできるようになります。例えば、ECサイトなどでは、購入履歴や操作履歴などから顧客が好きと判断するであろう商品をおすすめとして表示する (いわゆるレコメンド) といった形で、既に幅広く活用されています。

機械学習を実行するための学習パターン (アルゴリズム) は、 特定の正解データをもとに学習する「教師あり学習」・大量のデータからパターンを自動分類する「教師なし学習」・人工知能( AI )自身が試行錯誤を反復して正解を探る「強化学習」の3種類に分類されます。

以下では、これら3種類の機械学習について説明します。

教師あり学習

教師あり学習は、学習データに正解を与えた状態で、そのデータに含まれるルールやパターンを学習させる手法であり、学習結果を基に分析モデルを作成し、新たなデータに対して分析モデルを用いて認識・予測します。学習精度が高く学習速度も速い特徴を持っています。

教師なし学習

教師なし学習は、正解となる学習データが存在しない場合に用いる手法であり、データが持つ構造や特徴から未知のパターンやデータの傾向を見つけ出し、分類またはデータを簡略化します。

強化学習

強化学習は、 選択肢に対して報酬(目標となる数値など)を設定することで、正解のないデータを基に分析し、データに含まれる価値を見出した上で、その価値を最大化するための最適な行動を取るようAIに学習させることが目的の手法です。 囲碁のAIであるアルファ碁もこの学習方法を採用しています。

このように3つのアルゴリズムでは出力結果が異なるため、目的に応じて使い分ける必要があります。

ディープラーニング (深層学習) とは?

ディープラーニングとはAIの一つで、機械学習に含まれる手法です。人間が大量の学習データを抽出・分析する範囲を指定する「機械学習」に対し、「ディープラーニング」では、人間の手を介すことなくAIが大量の学習データの中から特徴量を自動的に抽出・分析できるため、学習コストや時間、人件費などを大幅に削減できます。ラベル付けされた大量のデータを取得することで、精度を高めていくこともできます。そのため、AIが様々なイノベーションを起こす可能性が生み出され、ディープラーニングはAIを設計・開発する上で欠かせない手法として注目されるようになりました。

ディープラーニングは、人の神経構造を模したネットワーク構造と言われる「ニューラルネットワーク」を組み合わせて構築されます。「ニューラルネットワーク」は「入力層」・「出力層」・「隠れ層」の3層構造になっており、「入力層」・「隠れ層」・「出力層」という階層順に、 順番に情報を表現していきます。しかし、 ディープラーニングが台頭する前の従来のニューラルネットワークでは、 その形式では単純な情報しか処理することができませんでした。

そこで、複雑な情報にも対応できるように「隠れ層」の数を100層以上も増やし積み重ねた 「ディープニューラルネットワーク」 という技術が開発された結果、高精度な学習能力を発揮可能なディープラーニングを実現することができました。他の手法と比べても、ディープラーニングは高いパフォーマンスを発揮することが実証されており、時には人間の視覚や聴力で判別するよりも正確な判断を下すこともあると言われています。

文字や数値、画像、動画、音声といった膨大な量のデータを自動的に学習することで、使い方によっては人間のもつ認識能力を超える成果を生み出すこともしばしばあります。

このようにとりわけ高い学習能力を持つディープラーニングは現在、様々なシーンにおいて活用されています。次の章では、ディープラーニングの主な活用事例を紹介していきます。

ディープラーニングの活用事例

医療診断

医療は深層学習が注目されている分野のひとつです。代表的な例として、医療診断が挙げられます。

過去の膨大な患者データをもとに各病気の症状などを人工知能( AI )が学習することで、効果的な新しい治療方法を見つけ出すことができます。

感染症の拡大などで多忙を極めている医療現場において、人工知能( AI はもはや必要不可欠な存在になっていると言えます。

画像処理

画像処理は日常的に普及している技術であり、これも深層学習がベースとなって作られています。代表的なものとして、スマートフォンのカメラによる顔認識が挙げられます。

その他にも、文字認識や物体識別などが挙げられ、手書きの文字をコンピューターのデジタル文字コードに変換する OCR や、製造業における工場内の棚卸業務や防犯チェックなど、多くの分野で実用化されています。

自動運転

近年、自動車の自動運転に注目が集まっています。人工知能( AI )が運転システムをコントロールして、自動的に安全な走行ルートを選択し、車両を走行します。

この自動運転技術にも深層学習が利用されており、自動運転における人工知能( AI )の活用は、大きく研究・開発が進んでいる分野のひとつです。

これら以外にも、ディープラーニングの技術が応用されている分野として、次のような領域があります。

  • 音声認識
    
  • 自然言語処理
    
  • 異常検知

これらは、ディープラーニングが用いられたことで、画期的な進歩を遂げた分野でもあります。

AI (人工知能) と機械学習とディープラーニングの関係性・違い

AIと機械学習とディープラーニングをそれぞれ説明してきましたが、この章ではこれら3つの関係性や違いについて説明していきます。

機械学習・AI・ディープラーニングの属性は同じですが、それぞれが占める範囲が異なります。

最も範囲が広いのがAIで、機械学習はAIの技術の一つです。ディープラーニングは、この機械学習のうちの一つです。つまり、AIというカテゴリーの中に機械学習とディープラーニングは含まれています。機械学習とディープラーニングは、幅広い意味をもつAIの一部であり、AIを実現するための学習方法やシステムなどのことを指します。

さらに、機械学習とディープラーニングには技術的な差があります。どちらも、取得したデータに含まれる特徴のうち、どの特徴が結果にどのように影響しているのかを分析します。機械学習ではこの特徴 (正解・不正解など) を人間が与えますが、ディープラーニングでは自らAIが自動的に学習します

言い換えると、機械学習はAIの学習の方向性を人間の指示でコントロールできますが、深層学習は予期せぬ方向に学習が進んでしまうリスクを孕んでいます。そのため、インプットするデータを慎重に選び、AIが効率的に学習を進められるように、入力するデータの扱い方を工夫する必要があります。

このように、機械学習・AI・ディープラーニングの3つは属性は同じであるものの、それぞれの指し示す範囲が異なります。

つまり、数学の記号を用いて表すと、AI⊃機械学習⊃ディープラーニングという集合関係になります。

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